いつも応援してくださりありがとうございます。
今日は鬼櫛と金櫛のお話をすこし。
筆づくりには、写真のような獣毛用の櫛を使います。
櫛の目が大きいものは鬼櫛、それ以外を金櫛と呼びます。
実は日本でこの櫛を作る職人はもういなくなりました。
海外製の金櫛は今もあり、試したことがありますが
特に弊社の古細微頂光鋒など質の高い繊細な毛に櫛をかけると
毛が縮れてしまうのです。
(市販されている金櫛を、皆さまがお持ちの上質で繊細な毛の筆に使うことはお勧めできません)
精密金属加工の職人にこのお話をしたところ、
このようにおっしゃっていました。
「細かい糸鋸で切っていくとその分表面も綺麗に仕上がるんですが、
その分時間も掛かるし、糸鋸の歯自体も細いんで千切れるし。
糸鋸の部分は今だと機械加工で代用出来ると思いますけど、
ヤスリはどうやってかけてるのか想像もできない、
すごい職人技です」
文進堂では「鬼櫛は人にやるな(あげるな)」と代々言われてきました。
手に馴染んだ道具を修理しながら大切に使います。
筆職人が使う道具も、高い技術を持った櫛職人がつくり、一本の筆を生み出していく。
筆には沢山の職人が関わっています。
職人の魂を繋いで生み出す筆。
皆さま、いつも大切に使って下さりありがとうございます。