文進堂 畑製筆所

筆・生き物に対する姿勢

文進堂では様々な動物の毛で筆を制作しており、生き物の毛を使わせていただいております。
食すために命をいただいた動物の副産物として毛を頂戴しており、他国からの輸入がほとんどです。

日本では故人を忍んでお墓を立てて魂を弔い、先祖代々お墓を守って感謝と祈りを捧げるように、
川尻町では、町の聖域である山、野呂山(のろさん)の頂上の綺麗な空気のもとに、筆のお墓「筆塚」を立てています。
私たちは、筆にも神が宿っていると考えています。これは日本の宗教・文化的背景によるものかもしれません。
筆塚を大切に管理し、全ての動物・植物たちへ感謝と敬意を払い、祈りをささげます。
一過性、過分に商業的に筆を制作していません。(特に弊社は大量生産をしません)
日本の伝統文化・工芸は自然界とともにあり、その根源には生命への感謝・神への感謝、祈りがあります。

このような感覚的・精神的理論展開でご理解いただけるかは分かりませんが、どうか弊社の筆づくりの精神に寄り添っていただければ幸いです。


碑文の内容

筆塚由来記

川尻筆の起源は天保年間 一小村川尻村の家内工業としてはじまり
今日まで実に百四十年の長い歴史を持つています
その間 技術の面に於ては幾多の名職人を生み
量的にも増加の一途をたどり 現在では高級筆の産地として
広く全国に知られる までに至りました
創業以来この百餘年製筆に生涯を盡せしもの
その販売に従事せしもの また筆によって所用を足し
或は崇高な書の美術に精進せしもの
何等かの形で社会に貢献し文化の向上に寄(与)せしこと
大なるものがあることを確信致します
原材料を提供せし数多くの獸類の靈を祭り
敬弔の誠を捧げるとともに 既に姿なく使命を全うせし無数の毛筆に
感謝と愛惜の念たちがたく
ここに筆塚を建設しその意を彰わさんとするものであります

昭和四十六年八月八日 三島村上正撰文並書
川尻毛筆事業協同組合建之

  • 副碑の碑文
  • 副碑の碑文裏