文進堂 畑製筆所

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【事例5】筆の修理(後編)


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皆さまへ


いつもありがとうございます。

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修理筆は墨を含んでいますので、他の制作を止めなければなりません。
道具にも墨が残らないように配慮して行いますので、
手間がかかる仕事です。
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それでは、前回に引き続き、筆の修理後編をお届けします。

(前回の記事はコチラ

毛を無駄にしないように、軸に残った毛を取り外します。
筆の状態によりますが、軸を壊して穂首を取り外さねばならないことが多いです。

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墨を抜いた後の毛の状態で、数センチ根元を切ることもあります。

幸い、今回の毛はそこまでの状態ではありませんでしたので、
毛を足さず、できるだけバランスを保てるよう、
ギリギリまで長さと毛量を確保しました。

長さは-5mm、太さは-1mmまでで留めることができました。

直径にぴったり合うように調整した軸を使います。

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この筆に再度、命を吹き込みます
これから先は、作家様が命を吹き込まれることでしょう。


筆は、せっかく素晴らしい毛を使っていても、
その仕立ての精度によって、筆の寿命は大きく変わってしまいます。

穂首の精度、0.数ミリの軸の誤差、菅込みの深さが後々影響します。


手に馴染み、長く寄り添う、
次の代にまで受け継げる筆を私たちは制作していきたいと考えています。

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※修理は筆の状態によって対処が異なります。
 寿命を全うしている筆もありますし、
 状態によっては新しい筆を新調された方が安価になる場合もありますので、
 作家様と相談しながら進めます。


いつもありがとうございます。