文進堂 畑製筆所

お知らせ

伝統文化ポーラ賞(地域賞)に選出されました。


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皆さまへ

いつもお世話になっております。


この度、畑義幸が伝統文化ポーラ賞「地域賞」に選出されましたので
ご報告申し上げます。


※受賞者の紹介ページはコチラ


伝統文化ポーラ賞とは、下記のように定義されております。

「わが国の貴重な伝統文化に貢献され、
 今後も活躍が期待できる個人または団体に対し、
 更なる活躍と業績の向上を奨励することを目的とします。

 具体的には伝統工芸技術や伝統芸能、
 あるいは民俗芸能・行事など無形の伝統文化の

 一、保存・伝承のために欠くことのできない基礎的な仕事
 二、「技」または「芸」または「行事」等の保存・伝承
 三、保存・振興のための研究や普及活動

 を対象とし、これを顕彰するものです。」


今、“一人の職人が一本の筆を仕立てる”
という一貫制作する職人が僅かになってきました。

一人前になるまでに、10年はかかる道のり。

毛は生き物です。

毛と対話し、天気、湿度と相談しながら
地道に仕立てていく筆。


筆づくりという人目につきにくい分野に着目し、推薦してくださり、
こうして表彰いただけたことに心より感謝申し上げます。

この賞を一層励みに、皆さまに喜んでいただける筆づくりを追及して参ります。

今後ともよろしくお願いいたします。


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推薦文の一部を抜粋記載させていただきます。
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畑義幸氏は自らの役割を正統な伝統の継承と発展、練磨と位置づけ、
親子三代にわたり伝えられた手工を受け継ぎ、
70を超える筆づくりのすべての工程を1人で手掛ける数少ない技術者の一人である。
・・・
各種の鳥獣毛を扱うが、半世紀以上前の中国の清浄な環境のもとで育った
野生の雄山羊の顎下から胸にかけての毛(細光鋒*)を主材料とする。

・・・
皮付きのまま数十年熟成させ、個々の毛の特徴を把握して選毛を重ね、
数百パターンの毛組みのノウハウを確立し、厳密な用途に適う筆を調製する。
その過程で、水で濡らした5種の長さの毛を櫛掛け、
ハンサシで薄く横に広げて 畳むように丸め込む「練り混ぜ」の工程を
数十回繰り返して均一に混毛し、切れ毛や逆毛などを徹底的に除去し、
高品質な穂先を形成する。

さらに一流書家の個別の要望に真摯に応えて試作を繰り返し、
自らの技術を磨くとともに、創作活動の基盤を高度に支えてきた。
畑氏の制作した筆は、穂先が紙面をピタッと捉え、穂先の開閉がスムーズで、
表現に無限の多様性と深みをもたらすと一流書家を唸らせる。

伝統的製法による高品質毛筆の供給が減少する今日
(例えば、熊野では伝産マークが発行される筆は生産量の0.1%未満。
 西田安慶『我が国筆産地の生成と発展』1996年より)、
畑氏が筆づくりの規範を示すことは重要であり、
畑氏制作に係る無名筆に熊野筆や都内書道店等の銘が施されて流通することも多く、
畑氏が川尻にとどまらず高級筆の供給の一角を支えている事実がある。

畑氏は三代にわたる技術と材料の蓄積と継承があって初めて最高品質の筆の制作が可能であり、
経済的な保証のないこの道に安易に人材を引き込むことは慎まれると語り、
厳しさを認識しつつ、後継者・四代目の育成に注力し、
川尻筆事業協同組合全体の職人を技術指導し、
また、川尻筆の「顔」として学校での体験学習やメディアへの露出、
PR活動への協力を通じて川尻筆の継承と普及に尽力を惜しまない。

畑氏の信念は、芸術や地域を支える上で必要とされる「日本一ええ筆をつくる」こと。
こうした活動を顕彰し、後世に伝えていくことは、
日本の伝統芸術を継承・発展させるための礎となる。

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*弊社は、細光鋒の部位の中から更に厳選した
最高ランクの毛、古細嫩頂光鋒・古細微頂光鋒を得意としております。

以上