文進堂 畑製筆所

お知らせ

三井ホーム様の季刊情報誌「Mitsui Home EYE」に掲載されました。


皆さまへ

いつもお世話になりありがとうございます。

この度、三井ホーム様の季刊情報誌「Mitsui Home EYE」
弊社の四代目、幸壯(こうそう)が特集されましたので
ご報告させていただきます。

本特集のテーマは、「技の系譜・受け継がれる技の心」です。

伝統を受け継ぎ、革新・発展させていく使命を担う
四代目に注目していただけたことに
三代目であり父でもある義幸もとても喜んでおります。

励みになる素晴らしい機会に恵まれ、心から感謝しております。


↓記事書き起こし↓

伝統に革新を加え、川尻筆をさらなる高みへ

文進堂 畑製筆所
畑幸壯さん

【技の系譜 受け継がれる伝統の心】

日本の筆の四大産地の一つに数えられる筆の里・川尻は、
広島県呉市の東に位置する。

この町でつくられる「川尻筆」は、書道用を中心に
古くから高級筆として全国に名を馳せてきた。

なかでも川尻筆の職人として初めて国の伝統工芸士の指定を受けた
畑義幸さんが製法を確立した最高品質の羊毛筆の評価は極めて高い。

そんな義幸さんを父に持つ文進堂畑製筆所の四代目・幸壯さんは、
伝統を継承しながらも技術を革新させ、
新しい伝統を築いていこうとしている。

<職人になった当初から最高峰の羊毛筆づくりに挑戦>

穏やかに広がる瀬戸内海に面した川尻で筆づくりが始まったのは、
江戸時代の末。

寺子屋での筆の販売に成功した川尻の住人が、
農閑期の副業として筆の製造をすすめたことに端を発する。

京筆の系譜に連なる川尻筆は、「練り混ぜ」という
独特の毛混ぜ技法が用いられる。

この技法は極めて高度な技術と繊細な作業を繰り返す必要があるため、
大量生産には向かないが、それだけに完成した製品は、
しなやかで、ねばりとこしを持った上質な筆となる。

「世界一ええ筆をつくる」ことを追求し、
川尻筆を丹精込めてつくり続けている文進堂畑製筆所の創業は、
昭和五(一九三〇)年。

以来、代々家族だけで筆づくりを行っている。

その九〇年近い歴史の担い手として、現在家業を継承しているのが、
四代目となる畑幸壯さん。

小さいときから、家業を継ぐことを当たり前のことだと思って過ごし
てきたそうだが、

思いがけないアクシデントによって、
筆職人への道を諦めざるを得ない時期があった。

「九年ほど前のことですが、父が交通事故に遭い、
頸椎を折る重傷を負いました。

医師からは、後遺症による機能障害が残るので、
筆づくりのような繊細な作業はもう無理だろうといわれました」

当時、兵庫県の大学に通っていた幸壯さんは、
父・義幸さんの教えを請えないのであれば、
筆職人になることを断念するしかない、と一般企業への就職を決め、
それまで思い描いたこともなかった会社員としての生活を選択した。

ところが、義幸さんは、医師も驚く奇跡的な回復をみせる。

心配していた機能障害も残らず、事故前とまったく変わらない
高品質な羊毛筆づくりができる身体に戻った。

「父は羊毛の中でも最高ランクの毛だけを使った
 筆づくりを確立しました。
 その技術を継承することができるのであれば、ぜひ教えて欲しい

と、幸壯さんは会社を辞め、筆職人として父に弟子入りする。

そして、職人になった当初から、筆づくりで最も難易度が高い
羊毛筆づくりに挑んだ。

伝統の技に自らの技を重ね、新しい伝統を築いていきたい

一本の羊毛筆を仕上げるには、実に七十もの工程を経なければいけない。

この技術を習得するには、最低でも十年はかかるといわれている。

また、羊毛は非常に柔らかく、扱うことが極めて難しいため、
確かな技術をもった職人しか触ることができないともいわれている。

しかし幸壯さんは、この難しい羊毛筆を、わずか一年で完成させた。

「職人になった当初から、最も難易度の高い羊毛筆に取り組んだのは、
父の考えでもありました。簡単な筆から徐々にステップアップするよりも、
最初から最高レベルの技術に挑むことで、筆づくりの厳しさ、
難しさを教え込もうとしたようです。

仕事場での父は厳しく、言葉も荒く、父でなく師匠としての態度になっていました。

けれども、一人の師匠に一人の弟子という環境にも恵まれて、
技術を習得できたのだと思います」

それにしても、父・義幸さんが何年も研究を重ねた末に辿り着いた最高級の羊毛筆づくりを、
わずか一年にして身につけるというのは尋常なことではない。

難しい技を短期間で習得できたのは、幸壯さんが幼少の頃から、
筆づくりの現場に親しんでいたことも関係していたようだ。

「物心ついたときから、常に仕事場に入り、父が作業する姿を真似て、遊んでいました。

ところが父と同じ道具を使い、同じようなことをしても、父のようにはならない。

何が違うのだろうと、子どもながらに考えていました。

そうした遊びを繰り返していくうちに、筆づくりに必要な技術を
知らず知らずのうちに身につけていたのかも知れません」

こうした筆づくりの技術に加え、筆職人には、
筆の原料となる原毛の良し悪しを見極める〝目利き〞の力が求められる。

どんなに優れた技術を持っていても、良い毛を使わないことには、
より良い筆を生み出すことはできないからだ。

この目利きの力もまた、幼少の頃から遊び感覚で培われていた。

「よく何種類かの原毛を父から見せられ、『どっちがええと思う?』と選
ばされていました。正解の場合は黙っているのですが、間違ったものを選ぶと、
毛の色や毛先などの見分け方を教えられていました。
小さいときから、選球眼ならぬ、〝選毛眼〞を鍛えられていたようです」

そんな幸壯さんが、いま力を入れているのが、書道家の高い要求に応える筆づくりだ。

毛の種類、穂の長さや太さをミリ単位で細かく指示されることもあるが、
その通りに仕上げたからといって、書道家は必ずしも納得しないという。

「筆に求めていることは何か、どのような線を書きたいのかを、
見極めることが重要です。その見極めをもとに、厳選した毛を使い、
持てる技術のすべてを各工程に注ぎ込み、一本一本、仕上げていきます。

極めて難しい作業ですが、それだけに完成した時の喜びは格別です」

こうして生まれた筆を手にしたある書道家は、最大限の賛辞を贈った。

「筆が作品を書いてくれる」と。

若くして高い技術を身につけた幸壯さんだが、自らの技術に満足することはない。

「筆がつくれるようになったからといって、職人として完成したわけではありません。

つくることができるだけでは、究極の技術ではありません。技術を磨くこと
に終わりはありません」

さらに続けて、

「父は祖父を超えたいという思いから、繊細さを極め、
羊毛筆の技術を確立しました。私もできるだけ早く、父を超えたいと思っています。
親を超えることは、それまでの技を進化させ革新させることにつながるからです」

伝統を継承しながら、そこにひと手間、ふた手間かけて、新しい伝統を築いていく。

この先、畑幸壯さんがつくる筆は、さらに品質を極め、
川尻筆の伝統をより良く革新していくことだろう。


筆のプレゼントページもございます。

ご興味がおありのオーナー様は、ご応募してみてくださいね。
(応募期間:8月26日24:00まで)

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