川尻筆伝統工芸士 三代目・畑 義幸
トップ >  ブログ > 筆の修理:その①

筆の修理:その①

2018年05月07日

皆さまへ

 

いつもお世話になります。

 

以前、Instagramで投稿した筆の修理工程を

ブログでも紹介してほしいというお声をいただきましたので、

こちらでも数回に分けて発信していきたいと思います。(instagram投稿はコチラ)

 


 

【筆の修理①】

 

修理のご依頼をいただきました。

 

■修理筆の状態■

 

毛がずれています。

 

原因は、補首に一部でも墨が固まった状態で、
補首を”ぐじゅ”っと押し付けて洗おうとしてしまったことです。

 

これをしてしまうと、毛がずれたり抜ける事があります。

 

※上質な羊毛筆をお使いの方

 (特に濃墨の方)はお気をつけくださいませ

 

一般的な安価で太い毛ならさほど問題ないのですが、

極細で高価なこのような毛ほど、扱いを慎重にする必要があります。

 

(↑分かりにくいかもしれませんが、少し穂先がずれています。)

 

今回はそれを治す修理です。

 

 

※修理方法は、筆の状態を見極めて最善の方法で行いますので、

 筆によって方法が異なります。

 

 

<1> まず、熱したコテで水牛のダルマ部分を温めて補首を抜きます。

 

(↑根本にかなり墨が溜まっています。)

 

特にこの毛(古細微頂光鋒極ヨリ)は極細で墨を多く含むことが出来ますので

お手入れ時には根本から墨をもみ出すことが必要です。

(↑真ん中部分が若干腐りかけています。使用時は風通しの良い場所で乾かすことが大切です)

 

<2> 麻糸を切って毛をさばきます。

(↑動画17秒)

 

<3> 輪ゴムで、さばいた毛を留めます。

 

次回に続きます。

 

※これまで、同業者様や個人の方々から「自社でできないから治してほしい」

 「職人がいないのでお願いします」と修理のご依頼をたくさんいただいておりました。

 しかし、このようにとても手間がかかるため本来作るべき筆が作れなくなってしまいます。

 以来、自社で作った筆のみ、修理を承っております。

 どうぞご理解くださいませ。